建築物の設計に携わる上では、一級建築士・二級建築士の資格が必要にってきます。近年、これら建築士の資格試験の難易度が上がり、まとまった勉強なしには合格することが困難となっています。建築士の試験に限らず、思い込みによる効率の良くない勉強法で勉強するよりも、実験で確かめられた記憶に関する研究成果から、資格試験に臨む皆さんに有意義な勉強法をお伝えします。
短期記憶では意味がない
2009年ワシントン大学の研究では、教科書の短期間での再読はあまり意味がないとの結論を出しました。文章を1回読んだグループと短期間に2回読んだグループに分け、直後にテストすると2回読んだグループの方が、少しだけ成績が良かったのですが、しばらく経った後では成績が変わらなかったのです。
つまり、短期間に教科書を2回読むことで、その記憶は短期記憶に保存されても、長期記憶には定着されないということを示しています。
教科書にアンダーラインを引き、何回も読み返すだけでは文章を頭に入れたつもりになっていても、それは短期記憶に保存されているだけで、いざ何週間も経つと全く覚えていないという結果になってしまいます。
長期記憶には「想起」が必要
2010年にニューヨークタイムズで掲載された研究では、ある文章を2つのグループに読ませ、1つのグループにだけ直後に文章に関するテストを行いました。その結果テストを行ったグループは、何もしないグループより5割も多くの情報を覚えていたのです。
これはテスト効果と呼ばれるもので、私たちも感覚としてテストを受けた方が記憶に定着することがわかると思います。またテストの数を増やす方が、より知識を長期記憶に定着できるということがわかっています。
ここでのポイントはあくまで、何も見ずに行うテストです。教科書を見返すことで復習しようとしても、それはワシントン大学の研究で否定された再読を行っているだけです。自分の頭の中にある知識を「想起」する、つまり思い出す行為が、その知識を長期記憶に定着させるのです。
今回はここまでとなります。因みに、ここで紹介していることは、「使える脳の鍛え方 ピーター・ブラウン、ヘンリー・ローディガー、マーク・マクダニエル 依田卓巳訳 NTT出版」の内容を参考にしています。興味のある方は非常に良い本なのでお勧めします。
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