一級建築士、二級建築士だけでなく、色々な資格試験に役立つ勉強法を「使える脳の鍛え方」から紹介します。
集中的に練習することの間違い
集中的に練習するとは、同じ様な問題を一度に沢山解くことです。これを「集中練習」と呼びます。「集中練習」は様々な分野で行われ、そんな指導をされたという方も多いでしょう。漢字の書き取りやスポーツでも、同じ内容をひたすら繰り返し練習することが常識となっています。
実際「集中練習」は効果があり、最初は難しい問題もすらすら解けるようになり、身についたと実感できます。だから、多くの指導者も自分の経験上、「集中練習」を肯定します。
しかし、実は「集中練習」で覚えたことは、短期記憶には保存されますが、長期記憶には定着しにくいのです。つまり「集中練習」の効果があるのは、短期間だけだということです。
間隔をあけて練習する
annals of surgeryという論文誌に掲載された、38人の外科研修医の実験があります。研修医を2つのグループに分けて、毛細血管の再接合の手術の実習をさせるのですが、1つのグループは1日で全ての実習を終わらせ、もう1つのグループは4週に分けて実習を行いました。最後に実習を終えてから行ったテストでは、4週に分けたグループの方が手術時間や成功率といった全ての項目で、成績が上だったのです。
新しい学びを長期記憶に定着させるためには「統合」と呼ばれるプロセスが必要で、記憶を強化し、意味を与え、既存の知識と関連付けるために、数時間から数日かかるそうです。
重要なことは、少し忘れてから思い出そうとすることで「統合」が促されて、記憶の強化が進みます。
つまり上記の研究では、実習を4週間に分けたことで、研修医たちは一週前のうろ覚えだった記憶を思い出さなければ、次の実習に臨めない状況でした。その結果、長期記憶として実習内容を定着させることができたのです。
まとめ
前回の記事では、学んだ後に「想起する」過程が重要という結論でしたが、勉強の間隔をあけることで自然に「想起」が行われます。
間隔をあけることは、単に勉強時間を減らすことではありません。一つの教科を一定時間勉強したら残りの時間は違う教科を勉強すれば良いのですが、それは次回詳しく説明します。
そして勉強した内容のテストを数日後、少なくとも「統合」に取り掛かっている1日後に行うことで長期記憶に定着できます。短期記憶の状態で何回も「想起」することは、あまり効果がないのです。
資格試験の勉強は、「集中練習」でひたすら同じ問題を解くのではなく、間隔をあけながら、忘れたころにテストを繰り返して下さい。この方法が最も効率が良いことが実証されています。
ここで紹介した内容は、「使える脳の鍛え方 ピーター・ブラウン、ヘンリー・ローディガー、マーク・マクダニエル 依田卓巳訳 NTT出版」を参考にしています。興味のある方は非常に良い本なのでお勧めします。
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