「ため息」はやる気につながる?

 

親に叱られた直後の子供が「はぁ~」とため息。こんな時、親であるあなたはどうしますか?

ため息をつくと幸せが逃げるとも言いますし、目の前でため息をつかれるのは、何とも気分が悪いですね。叱られた直後の子供がため息をつけば、多くの親がまた叱りたくなると思います。

ため息について、こんな論文が目に留まりましたので、よろしければ読んでください。

 

 

ため息はやる気を高める

これは、2016年に関西大学(井上佳奈氏他)で行われた研究です。

58人の被験者を2つのグループに分け、高難易度のパズルと、単純作業として英字新聞からのEの文字を探させた後、一方のグループだけに「ため息」をつかせます。そしてパズルと単純作業を再開させた時の継続時間とやる気を調べたそうです。

実験の結果、ため息をついたグループの方が、その後のパズルと単純作業の継続時間が長く、やる気も持続したそうです。

このことは、ため息によってモチベーションが向上することを示しており、しかも単純作業よりも高難易度のパズルに対して、モチベーションの上昇が顕著だったということです。

 

ため息によってリセットされる

ため息は、新たな行動へ転じるための「区切り」であり、モチベーションを高めるポジティブなものだったのかも。

またこの論文では、パズルをそれまでと異なる解法で取り組み始める際にもため息をしていたことが指摘されており、ため息をすることで、頭をリセットして発想を切り替えることもできるという素晴らしい結果です。

ため息は、ストレスによって乱された呼吸をリセットする働きがあり、呼吸活動によって,自律神経や心臓の動きが正常化され、自己制御や意思決定の力を向上させるのだということです。

それにしても、これまでのため息にまつわるネガティブなイメージは何だったのかと思わされます。

 

子供がため息をしたら

さあ、問題は叱られた後の子供のため息です。何だか叱る時間が終わって、「ふーやれやれ」と、安堵しているように見えて釈然としません。

実は上記の研究では、ため息と「安堵」の関係についての実験も行っています。その結果、ため息が安堵と関連する結果は得られなかったのです。

つまり、子供は安堵したからため息をついたというよりも、高難易度のパズルに取り組んだのと同じように、叱られている最中、頭をフル回転させていたのかもしれません。

そう考えると、なんだかため息も、許せそうな気がしますね。

 

 

 

参考文献

ため息はやる気を高める

―随意的嘆息が安堵と動機づけに与える効果―

井上 佳奈  山本 佑実 菅村 玄二 関西大学