便器での健康管理、個人特定の新発想!

 

人間の排泄物には、健康状態を把握する上で非常に多くのデータが含まれているそうです。これからの便器は、自動で体温や排泄物の成分を検査してくれて、住人の健康管理に欠かせないものになるのかもしれません。そんな未来の便器に付随する、面白い研究がありましたのでご紹介します。

 

個人の特定

便器にセンサーを埋め込んだり、排泄物を自動で解析したりする中で、重要なのは個人をどのように特定するかです。個人を特定するには顔認証や指紋認証、音声認識が考えられますが、顔認証にカメラを使用するとなると、プライバシーの観点からあまり好ましくありません。また指紋認証の為にパネル等に触れる行為も、余計な動作を増やすことになり、衛生面からも望ましいものではありません。音声認識については、まさかトイレで声は出しにくいですね。

トイレで健康状態を管理する技術は、住宅だけでなく老人ホームや病院での使用も考えると、個人の特定は難しいものであるのです。

 

目の付け所が凄い

トイレは利用者が緊急を要している場合もあるので、普段の動作の中で自然に個人を特定しなければなりません。そこで、神戸大学・立命館大学・科学技術振興機構さきがけの研究チームが目を付けたのが、トイレに必ず存在している「あるもの」です。

その「あるもの」とは「紙巻器」です。なんとこの研究チームは紙巻器の回転特性を計測することで個人を特定し得ると考えたのです。目の付け所が凄い。

 

結果は?

計測するのは、使用量、巻取りに要した時間、巻取り速度等です。素人目には、これで個人を特定することなんてできるの?といぶかしいく思うわけですが、この実験結果は、5人家族では平均 85.8 %の精度で識別できたということです。

個人によって、トイレットペーパーの使い方が違うと言われれば、まあそうなのかと思うわけですが、その違いをこんなことに役立てることができるなんて驚きです。他人のトイレットペーパーの使い方なんて見られる機会もないので、その意味でもこの研究は面白いと思います。

 

 

参考文献

トイレ使用者識別のためのペーパ回転センシングデバイス

倉橋真也 村尾和哉 寺田 努 塚本昌彦